観たかった映画の原作・・・魅き込まれました。

「明るく静かに澄んで懐かしい◯◯、少し甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている◯◯、夢のように美しいが現実のようにたしかな◯◯」

作中、天才ピアノ調律師・板鳥が「私の理想とする音をそのまま表してくれていると感じました」と引用する‘原民喜(詩人/小説家/広島で被爆)のこの表現’。

読み終わった今も、頭の中で、こだましている・・・。

映画よりも、小説を読んで本当に良かった。

全体のトーンは控えめで静かだが、短文で紡がれる日本語、描写が豊かで美しい。

板鳥と出会って以来、調律に魅せられた主人公・外村が、内的葛藤と共に、ひたすら音に、人に向き合う姿。


派手さはないが、不思議な余韻があり、心地よい残響音がある。

ピアノの音は、作者・調律師・演奏者を始め、‘多くの人や要素の共創’であることが深く伝わってくる。


久しぶりに、本物のピアノを弾いてみたくなった。


2016年本屋大賞受賞作(全国書店員が選んだいちばん売りたい本)というのも頷ける。

夏にオススメの一冊です。


2018.8.11

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